発毛の司令塔「毛乳頭細胞」の高度解析に成功!九州工業大学・情報工学部と共同研究

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毛乳頭細胞の一次繊毛の「高次構造解析」

発毛の司令塔」と言われ、ヘアケア研究界では常に中心的な存在となっているのが毛乳頭細胞です。 この細胞が発毛命令をやり取りするのは、繊毛(せんもう)と呼ばれる微小器官であると考えられ、その解明が研究者たちの大きな課題でした。 当研究所では単離培養した毛乳頭細胞から飛び出す繊毛の可視化に世界で初めて成功し、可視化とともにわずか1.9+-1.0マイクロメートルという長さの定量化と、種々の制御因子を加えることで、繊毛の長さをコントロールすることにも成功しています。 これらの研究成果を2012年9月に日本皮膚外科学会にて発表しましたが、今回は、九州工業大学・情報工学部との共同研究により、その『繊毛(せんもう)』の構造を更に追求し、解析に成功しました。



(透過型電子顕微鏡でデータ解析中の松島博士)


これまで毛乳頭細胞観察では左のような写真に成功しています。 核もハッキリと撮影できているのが解ります。 さらに、特定の部位だけを観察するには、免疫蛍光抗体染色法蛍光顕微鏡を用いて右のような写真撮影にも成功しています。世界で初めて繊毛の可視化に成功したのは、この免疫蛍光抗体染色法を用いた蛍光顕微鏡での撮影でした。

 



発毛シグナルの全容を解明するには、もっと詳細な観察技術が必要です。
右の写真は、走査型電子顕微鏡を用いた観察研究で、今までの写真よりも鮮明な表面構造まで観察できることが解ります。 細胞の周りのデコボコや細胞内の線維も見えています。 (毛乳頭細胞の写真です)


また、左図のような糸状仮足とよばれる、細胞の足のような構造も認められ、詳細な細胞構造を奥深く観察する事ができています。実際、糸状仮足は細胞が移動する際に出たり引っ込んだりしています。(アメーバ運動が分かり易い例です)

尚、糸状仮足は、左下図のようにアクチンフィラメントという 線維状のタンパク質からなっています。


さて、では、毛乳頭細胞の繊毛を電子顕微鏡でみてみるとどのようにみえるのでしょうか。


電子顕微鏡でとらえた毛乳頭細胞の一次繊毛(せんもう)

電子顕微鏡による繊毛観察は非常に難しく、高度の技術と執着心、忍耐力を必要とします。 細胞培養・試料の作成・観察・解析を繰り返し行い、ついに撮影に成功しました。このようなピンと立ちあがった繊毛はごく稀で、今後の更なる期待が見込めます。

  

さらに今度は、共焦点レーザー顕微鏡を用いて繊毛を観察しました。

共焦点レーザー顕微鏡による毛乳頭細胞の一次繊毛

   
毛乳頭細胞の輪郭、核(丸い構造)、
そして、繊毛()が見えます。
注意深く観察すると、繊毛の付け根に黒い影
のようなものがあることが分か ります。
これは、Basal body (基底小体) というもので、
ここから繊毛が生えて います。
さらに、上図のような写真を細胞の縦軸(Z軸)に
沿って、連続的な写真を撮る事で、3D情報が得ら
れます。



3つの観察方法での繊毛写真を見比べてみると、このような違いが解ります。 同じ器官であるのを疑うような写真ですが、
繊毛の働きを知る上で、どの方法も無くてはならない観察方法です。


【蛍光顕微鏡】
【電子顕微鏡】
【共焦点レーザー顕微鏡】


発毛の司令塔である毛乳頭細胞(培養)の繊毛の研究ではサラヴィオ中央研究所は世界をリードしています。
学術発表を成したことで、多くの研究機関やマスメディアからも注目されており、今後の発毛シグナルの全容解明に拍車がかかっております。







 
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