その他の研究

2種の微生物の大量培養に成功、
有用な機能性原料に。

温泉には多種多様な微生物が存在し、そのなかには健康や美容の増進に役立つものが含まれます。
研究所はこれまでに別府温泉で200種類以上の温泉微生物を解析し安全性と有効性に秀でた温泉藻RG92と温泉酵母M-1を発見しました。
これらの大量培養技術も確立し機能性食品原料や化粧品原料を開発しています。

別府温泉に生息する温泉微生物

①温泉藻RG92

RG92は緑色で丸い形をした直径約5μmの微細藻類です。遺伝子配列の解析から、新種のMucidosphaerium sp.であることが判明しました。独自の抽出や粉末化の技術により、RG92エキスとRG92パウダーを開発しました。有効成分の第一候補として糖脂質が考えられ、その作用検証と併せて成分含量などの側面からも分析を続けています。

RG92はさまざまな増悪因子によるダメージを取り除く「守りの原料」です。
これまでに下記のような効果を見出しました。

  • 抗炎症作用
  • 抗酸化作用
  • 糖化障害の抑制
  • アンチエイジング作用
  • ミトコンドリア障害の抑制
  • インスリン抵抗性の改善

これらの結果から、RG92は皮膚炎や円形脱毛症、関節炎、筋肉痛などの炎症症状の緩和、紫外線や加齢に伴う肌や髪のトラブルの改善、糖尿病や生活習慣病の予防に効果があることが期待されます。

②温泉酵母M-1

発酵技術により、酵母成分を加水分解した原料が加水分解酵母エキスです。加水分解することにより低分子化され、効率良く肌に浸透することが期待されます。
M-1は積極的に細胞を活性化させる「攻めの原料」です。
これまでに、毛乳頭細胞において下記のような効果を見出しました。

  • 細胞増殖の促進
  • 細胞遊走活性の促進
  • 成長因子の発現増強
  • ミトコンドリア機能の向上
  • 一時繊毛の伸長
  • オートファジーの活性化

M-1は、育毛促進に効果的であることを示唆しています。

泉藻RG92は活性酸素を除去し、炎症・酸化・糖化ストレスによる炎症因子(IL、MMP等)の増加や細胞障害・老化を抑えます。加えて、長寿遺伝子(SIRT1)の発現を増強してミトコンドリアの機能やオートファジー活性を高めることで、アンチエイジング効果を発揮します。温泉酵母M-1はエネルギー産生やオートファジー活性を高めます。一次繊毛を介して細胞内シグナル伝達を活性化させて成長因子の発現を増強する作用もあります。これらの結果、細胞の増殖活性や再生能力が高まります。

A)温泉藻RG92のアンチエイジング効果と温泉酵母M-1は細胞活性の向上作用により、バリア機能の向上およびスキンターンオーバーの正常化が促されます。B)毛乳頭においては、両温泉微生物の一連の作用により、毛母細胞の増殖が向上し、育毛が促進されます。